家を売る流れ STEP5|売買契約で後悔しない!契約内容・特約・手付金の基本
売買契約の前に
内覧後、購入を希望する方から、「購入申込書(買付証明書)」を提出されます。
これは、「この物件を、この条件で買いたいです」という買主の意思表示を書面にしたものです。主に以下の内容が記載されています。
- 購入希望価格
- 手付金の額
- 住宅ローン利用の有無
- 引き渡し希望時期
- その他の条件や要望
ここで大切なポイント: 購入申込書は、あくまで「意思表示」であり、法的な拘束力はありません。この段階では、まだ正式な契約は成立していません。
購入申込書を受け取ったら、不動産会社の担当者と一緒に内容を確認し、条件面で調整が必要な場合はこの段階で交渉を行います。価格、引き渡し時期、その他の条件について、お互いが合意できるポイントを探っていきます。
条件がまとまったら、正式な売買契約へと進みます。
売買契約の当日の流れ
契約当日の所要時間はおおむね1時間半〜2時間程度。以下のような順序で進行します。
- 重要事項説明(宅地建物取引士から買主へ説明)
- 売買契約書の読み合わせ・署名・押印
- 手付金の受領(一般的には売買代金の5〜10%が目安)
※ 実際の手順は契約内容や不動産会社の進め方で多少前後します。
売買契約書で確認すべき重要ポイント
契約書にはさまざまな条項が記載されていますが、売主として確認しておくべきポイントを整理します。
1. 売買価格と支払い条件
最も基本的な項目ですが、改めて確認してください。
- 売買価格が合意した金額と一致しているか
- 手付金の額と残代金の額の内訳
- 残代金の支払い日(=決済日)はいつか
- 支払い方法(銀行振込が一般的)
2. 手付金の意味と「手付解除」
手付金は、単なる「代金の一部前払い」ではありません。一般的な不動産取引では、「解約手付」としての性質を持ちます。
| 内容 | |
|---|---|
| 買主から解除する場合 | 手付金を放棄することで契約を解除できる |
| 売主から解除する場合 | 受け取った手付金の倍額を返還することで契約を解除できる |
手付金の相場は、売買代金の**5〜10%**が一般的です。
注意点:
- 手付解除には期限があります。契約書に記載された期日を過ぎると、手付解除はできなくなります
- 期日を過ぎた後の解除は「違約解除」となり、違約金(通常は売買代金の10〜20%)の支払いが必要になります
- 「相手方が契約の履行に着手した後」は手付解除ができないのが原則です
3. 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)
これは、引き渡し後に物件に不具合(契約内容に適合しない点)が見つかった場合、売主がどこまで責任を負うかを定めたものです。
2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」から**「契約不適合責任」**に変わりました。名前だけでなく、内容も変わっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 契約の内容に適合しない欠陥(雨漏り、シロアリ被害、給排水設備の故障、構造的な不具合など) |
| 買主の権利 | 修補請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除 |
| 責任期間 | 契約書で定める(個人間売買では引き渡しから3か月とするケースが多い) |
売主として特に注意したいこと:
責任の範囲と期間を契約書で明確に定めておくことが重要です
知っている不具合は、必ず事前に告知する — 雨漏りの履歴、シロアリ被害、過去の修繕歴、近隣トラブルなど。知っていて告げなかった場合、責任期間を過ぎた後でも責任を問われる可能性があります
「現状有姿(げんじょうゆうし)」での引き渡しを取り決める場合でも、契約不適合責任が完全に免除されるわけではありません
4. 住宅ローン特約(ローン条項)
買主が住宅ローンを利用して購入する場合に設けられる特約です。
内容: 買主が住宅ローンの本審査に落ちた場合、売買契約を白紙に戻すことができる(売主は手付金を全額返還する)
売主として知っておくべきこと:
- 白紙解除の場合、売主に金銭的なペナルティはありませんが、それまでに費やした時間が失われます
- 特約の期限(いつまでにローン審査の結果が出るか)を確認しておく
- 買主が事前審査(仮審査)を通過しているかどうかは、契約前に確認しておくべき重要な情報です。事前審査を通過していれば、本審査で否決されるリスクは大幅に下がります
5. 引き渡し日と「現状」の確認
| 確認事項 | ポイント |
|---|---|
| 引き渡し日 | 売主の引っ越しスケジュールと無理なく整合しているか |
| 引き渡しの状態 | 残置物の扱い(エアコン・照明・カーテンレールなど、何を残し何を撤去するか) |
| 境界の明示 | 戸建て・土地の場合、境界標の確認や測量の要否 |
| 付帯設備の状態 | 付帯設備表(エアコン、給湯器、食洗機など、何が付いていて何が壊れているか)の記載内容 |
6. その他の特約事項
個々の取引事情に応じて、以下のような特約が設けられることがあります。
- 買い替え特約 — 売主が新居の購入を条件としている場合、新居の契約が成立しなければ白紙解除できる
- 建物解体条件 — 売主が更地にして引き渡す場合の解体完了期限
- 確定測量条件 — 引き渡しまでに確定測量を実施する場合の条件
特約は当事者間の合意で自由に設定できる部分です。それだけに、記載内容をしっかり確認し、不明点があれば必ず質問してください。
契約当日に持参するもの
売主が契約当日に用意しておくものの一般的なリストです。不動産会社から事前に案内がありますが、参考としてまとめておきます。
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| 実印 | 契約書への押印に使用 |
| 印鑑証明書 | 発行から3か月以内のもの |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
| 登記済権利証 or 登記識別情報通知 | 所有権を証明する書類 |
| 固定資産税納税通知書 | 固定資産税の精算に使用 |
| 収入印紙 | 売買契約書に貼付(金額は売買価格による) |
| 仲介手数料の一部 | 契約時に半金を支払う場合がある(会社による) |
共有名義の場合は、共有者全員分の書類と、全員の出席(または委任状)が必要になります。
契約書に署名する前に ── 迷ったらここを押さえる
売買契約の場で「何を確認すればいいか迷う」場合は、次の5点だけで十分です。
- 契約不適合責任の範囲と期間(どこからが対象か)
- 手付金の扱い(解除できる時期と条件)
- 住宅ローン特約・買い替え特約の内容(いつ何をすべきか)
- 引き渡し日と残代金支払日(スケジュールが現実的か)
- 特約の中で“抜けがちな項目”はないか(条件の優先順位)
「わからないことがあるのに、聞きづらいからそのまま署名してしまった」——これが、後のトラブルにつながるケースは少なくありません。
不明点はその場で質問して大丈夫です。
契約書にサインする前に、納得できる状態にしておきましょう。
迷ったらここを押さえる:当日のチェックポイント
売買契約の場で「何を確認すればいいか迷う」場合は、次の5点を押さえれば十分です。
- 契約不適合責任の範囲と期間(どこからが対象か)
- 手付金の扱い(解除できる時期と条件)
- 住宅ローン特約・買い替え特約の内容(いつ何をすべきか)
- 引き渡し日と残代金支払日(スケジュールが現実的か)
- 特約の中で“抜けがちな項目”はないか(条件の優先順位)
不明点はその場で質問して大丈夫です。
契約書にサインする前に、納得できる状態にしておきましょう。
次のSTEP6(決済・引き渡し)では、契約後に実際に何を準備し、当日に何が行われるのかを解説します。
📖 次の記事 →「決済・引き渡しで失敗しない!当日の流れと準備チェックリスト」
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